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特別養護老人ホームでの終末期における社会福祉士の支援について

 

山本悠策氏 特別養護老人ホーム白滝園(広島)

 

研究目的

特別養護老人ホームの社会福祉士が家族、本人に対する終末期の迎え方の相談支援のあり方を考えることを目的とします。

社会福祉士は社会福祉援助技術を用いて、個人の自立生活支援及び自立生活力の育成を図るものであり、当然人生の終末期の迎え方の支援も含みます。

「平成27年度介護報酬改定の効果検証及び研究に係る調査」によりますと、看取り状況は特養76.1%、老人保健施設64.0%、介護療養型医療施設81.9%であり、医療者が常駐しない特養においても看取りは多く行われております

 

データは平成26年から29年度に、勤務先の特養における看取り介護を行った人数、発表者の看取りの参与観察であります。

 

結果

1 入所契約時に「療養の意向」が決まっていた人数

療養の意向とは終末期の居住の場の選択と延命処置の有無であります。

当施設は平成28年度からは

①入所申し込みの説明:入所後の説明

②入所待機時、終末期の意向確認

③入所前の面談時、終末期の意向確認

④入所時:書面にて終末期の意向確認

⑤入院・状態悪化時:終末期の意向確認

⑥終末期:終末期の意向の再確認、

をしています。

 

平成27年度までは①から④はなく、⑤と⑥をしていました。

 

そのため、平成28年度からは入所契約時に意向が決定している利用者が増えてきています。

 

看取りの介護の人数

特養での看取りの介護人数は、平成27年度から増えてきています。

看取り介護を希望する利用者および家族の特性

個人及び環境としての家族をみますと、個人の特性は、利用者100%が1重介護の状態であり、約73%が医療施設からの入所です。

環境としての家族は、息子や娘が33人で約80%、

居住地は同一地域が33人で約80%、

相互関係がある人が34人183%で、家族関係を維持する中で、施設での看取り介護を希望されたと思われます。

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考察

療養の意向を表示する家族が多かったのは、利用者本人の重介護状態と言う特徴に加えて、主介護者が息子や娘で、日頃から関わりがあったので、潜在的な看取りのニーズはあったと思われます。

しかし、家族が入所することが到達先で入所当日を迎えるため、終末期に関する考えには至らなかったとも考えられます。

そこで平成28年度からは入所待機時から入所への家族の思いを傾聴し、両者の現状と今後予想される「終末期及び死」ついての説明を行い、特養においても看取りができることを伝えるなかで、自己決定を促し、終末期の意向確認を始めました。

これを行うことで契約時に意向が決定している人が増加をしています。

 

看取り介護の希望者が増える中で、急変して病院に搬送する場合も、「入院・容体悪化時」に「終末期の意向確認」を事前に行っていることで、緊急時でも対応が速やかに行えております。

 

結論

社会福祉士は、入所申し込み時から、利用者および環境である家族の状態と意思に働きかけ、入所後の生活や終末期の過ごし方まで相談支援する必要があります。

入所待機時の目標としては入所でありますが、入社後は社会福祉士が利用者と家族の領域に応じて介入し、課題中心アプローチの理論と連動させることで、終末期の迎え方を見通した生活という目標を支援していくことが求められます。

 

質疑応答のなかで

看取りについての説明は、看護師、介護士、生活相談員など複数で行います。

ご家族のなかで意見が分かれる場合は、家族内で協議していただきますが、その時にも必要であれば説明に加わります。

看取りというと、全く治療しなくて放っておくイメージをもたれているご家族がいらっしゃいますが、そうではないことを説明します。

ご本人の意向については、意思表示出来ない方も多く、家族と本人で意向が別れることはありませんでした。

 

発表を聴いて

ご家族としては、特養に入れたらゴールで一安心と思っている人がほとんどでしょう。

しかし、ご本人にとっては新たな環境で、そこの生活に慣れて人生の終わりまで過ごしていく場所になります。

「終の棲家」という特性上、終末期を迎えることになりますが、その時慌ててどう対応するのか、特にご家族にとっては新たに判断を求められることになります。

意向が定まらないなかで、時間が経過して死を迎えてしまうこともあるでしょう。

そういったことを、事前にご家族に伝えて、共に考えていくのが社会福祉士としての役割といえます。

入所から終末期までの支援。穏やかで納得いく看取りをするためには、社会福祉士として寄り添った支援が求められると思いました。

 

道の駅 北浦街道豊北
高台にのぼって、角島方面。
雨も降ったりやんだりしていました。