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日本社会福祉士全国大会山口 第2日目

第2日目は分科会が行なわれました。

7月8日(日)9:30~12:30
湯田温泉ホテルかめ福

分科会は

権利擁護
生活構造・福祉経営
相談援助・実践研究1
地域支援
実践研究2
自主企画シンポジウム1,2
山口特別分科会

と、分かれており、基本的には事前に申し込んだものを聴きに行くといったスタイルです。

しかし、西日本豪雨で発表者も参加できない方が何名もいらっしゃって、発表に穴が空くといったことになりました。

ですので、事前申し込み関係なく聴いていいですよということになりました。

今回、聴いた発表の要約をまとめてお伝えしたいと思います。

 

相談・実践研究1分科会

進行:吉田光子氏

 

障がいのある人が親を自宅で介護することへの支援
~自閉症スペクトラム障がいが疑われる介護者の成功要因に着目して~

名越しおり氏 (津軽保健生協 健正介護センター虹)

平成29年度に厚労省が行った調査によると、虐待の発生要因として「虐待者の障がい・疾病」が21.3%を占めています。
また、地域包括が担当する最も多い困難事例は「本人や家族に精神障害や知的障害がある」ことが明らかになっています。
こうした要援護者への支援方法は確立しておらず、障害担当課や保健センターを紹介することが多い。

本研究では、障害のある人でも支援があれば親の介護は可能であるという実践仮説をたて、障害特性に応じた支援方法を明らかにします。

研究方法として
①2010年4月~2018年1月まで支援した事例
介護者に障害がある、または疑われる事例3例
②家族全体の生活状況を把握するために、医療・衣服・職業(経済)・食物・住居・遊興・友人の7つの指標を設定。共通性について分析しました。
③介護者に自閉症スペクトラム障害が疑われるもの、そして自宅で親の介護を継続している事例に焦点をあて、支援結果を分析。成功要因について明らかにしました。

結果

7つの指標にそれぞれ共通性が認められました。
医療:疾病に関する理解が低く、過剰喫煙、服薬忘れ、通院頻度の過多がみられました。
衣服:衣類の汚れが目立つ
職業(経済):優先順位をつけてお金を使えない
食物:食事をおやつや嗜好品で済ませ、訪問介護や通所介護を利用して食の支援を受けていました。
住居:カビやタバコのヤニ、ごみの放置により不衛生
友人:友人、知人、親類とも疎遠
地域の中では孤立している傾向にありますが、当事者はそれぞれ楽しみや役割を持ち、日々の生活を送っていました。

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介護者に自閉症スペクトラム障害が疑われる事例への支援

母親(90代前半、要介護度5)
長女(60代半ば)あまり関わりなし
三女(60代前半)キーパーソン
の3人暮らし

長女:精神疾患
三女:自閉症スペクトラム障害の疑い
(母親の遺族共済年金が収入源)

母親:大腿骨頸部骨折を機に介護保険サービス利用
しかし、三女のサービス拒否が強い
通所介護(週1回)、ベッドレンタルのみ

そのために、母親は床ずれや尿路感染症を起こし、入退院を繰り返していました。

支援の方法と効果

三女に自己肯定感の低さ→職場で存在を否定された経験
まずは信頼関係の構築を最優先課題と設定。

三女の関心のある血液型や星座の話題
周囲とうまくやれない自分にもどかしさを感じながら生きてきた背景を受容
三女の行動パターンを変えないよう、訪問時間は三女が帰宅する時間を選んだ

効果はすぐに表れて、2回目の訪問から三女に笑顔が出始めました。
支援者の提案に耳を傾け、それを実行することができるようになりました。

次に相談ルートの一本化

三女は障害特性により不測の自体に対応できない
母親が「痛い」→すぐに救急車、あるいは鎮痛剤の過剰服用

支援者の連絡先を三女の目の付く場所へ掲示
主治医にも鎮痛剤をなるべく処方しないよう依頼

結果、
救急車を呼ぶ回数が減った。
三女なりにすぐに相談すべきか判断して行動できるようになった。

訪問診療、訪問看護を導入するために
必要な理由を、数字、写真、絵を用いて説明しました。

エアマットの空気を抜かないように停電対策がなされたマットに好感しました。

結果
床ずれは完治
尿路感染症を起こす頻度も減った
入院することがなくなった

2年以上経過した現在も在宅生活が続いています。
(デイサービス週1回→週3回)

考察

①生活課題を生む要因には、障害特性によるものと、環境によるものがあります。特に、発達障害の概念がない時代を生きてきた人たちは、適切な支援を受けることが出来ず、課題を大きくしてしまったと考えました。

②在宅介護を可能にした要因として、支援者側が介護者と早い段階で信頼関係が構築できたこと、障害特性に応じた環境調整を行なったことが大きいと考えます。
介護者に対して、障害の確定診断や障害サービスの利用を急がずに、介護者が取り組む課題を一つずつ解決していったことも効果的でした。
介護者側の要因として、親の介護をしたいという強い意志があったこと、発達障害はありましたが知的な遅れはなく、納得するとそれに従って行動できたことがあげられます。

結論

介護者に発達障害がある場合でも、信頼関係の構築、障害特性に応じた環境調整を行なうことで在宅介護が可能となることが明らかになりました。

そこに寄り添う社会福祉士として求められることは、自己決定の尊重です。自己決定が認められることで、介護者の自信につながり、さらに向上心を生むことができます。

支援者が在宅生活が可能かどうかを判断するのではなく、本人と介護者の可能性を信じることが重要であります。

 

発表を聴いて

自閉症スペクトラム障害についての知識がなかったので、検索してみました。

自閉症スペクトラム障害(ASD)とは?年代別の特徴や診断方法は?

支援するにあたって、あのご家族は障害がある。変だよね。理解してくれない。といった気持ちになってしまったりします。

そのご家族の、診断はでていないにしろ障害特性からどの障害に近いものがあるかを推理し、その上で対応していくとうまくいく可能性が上がってくるんだなあと思いました。

どうやったら、三女さんが理解してくれるのかを試行錯誤しながらやっていったことが発表されています。

支援をしていると、こちらの方が道筋を立てて介護者に同意を得るといったプロセスを押しつけてしまうことが結果としてあります。
それが障害をもったご家族には通用しない。
すると、困った!と言う気持ちが表に出てしまって、信頼関係を築くどころか不信感をもたれてしまう。
気をつけなければなりません。

「本人と介護者の可能性を信じる」

言葉にすると簡単ですが、根気がいります。
我々はあくまでサポート役。
時折、思い出さないといけませんね。