Pocket

地域包括ケアシステム
(東洋大学 高野氏講演の続き)

地域包括ケアシステムとは、
1970年代後半以降の広島県御調町(現在は尾道市)の地域の取り組みが原型。
公立みつぎ総合病院の院長・山口昇氏による
・出前の医療
・出前の福祉
・健康づくり・介護予防
・住民主体の活動
などを一体化した取り組み→地域包括ケア

山口医師は

地域包括ケアシステムとは、あくまでコミュニティーづくりであり、地域のニーズに応えることです。御調町の地域包括ケアシステム構築の手法は農村型ですが、これからは全国でさまざまな地域のニーズに合わせた地域包括ケアシステムが広がっていくことが必要です。

当時、制度になっていなかった。ということは報酬がつかず、病院がボランティアで行っていました。また、ヘルパーに身体介護をしてもらう。それを朝と晩にという取り組みを始めました。昭和のヘルパーは家事援助のみで、社協などが自治体の決定で行っていました。
商店街もボランティアをして在宅を支え合う仕組みができ、町の地域みんなで包括ケアが実践されました。
結果、老人医療費が抑制。役所の町づくりが医療費削減に効果があったとのことです。

 

「自助・互助・共助・公助」

自助 自分のことを自分でする。自らの健康管理。市場サービスの購入。

互助 当事者団体による取り組み。ボランティア活動。住民組織の活動。

共助 介護保険に代表される社会保険制度及びサービス

公助 一般財源による高齢者福祉事業。生活保護。

都市部 強い互助は× 自助によるサービス購入○
都市部以外 互助〇 民間市場限定的△

たとえば、犬の散歩を500円で請け負っているペットショップがあります。都市部であればそれを利用する(自助によるサービス購入)人がいるでしょう。
また、デイサービスをいやがる高齢の男性がいます。家でテレビばかりみており、デイで他社との交流を目的に通うも、デイでもテレビばかり見ている。試しにいった高齢者サロンでは人との交流ができ、生きがいを再発見した。このケースもデイ利用は7000円の保険負担。高齢者サロンは少額。こういったところでも社会的費用が軽減できます。

少子高齢化・財政状況

共助・公助 大幅な拡充困難
自助・互助 役割大きくなる

 

地域包括ケアシステムが登場した現実的背景

介護給付費の増加
要介護認定者の増加
国の財源の切迫 税収59.5兆円 歳出96.3兆円
総人口の減少・高齢化の進行
高齢者の住宅問題と特養ホーム待機者問題
多死社会の到来 1970年代は年70万人
2010年は年120万人 2030年代は約170万人

地域住民の参画と協働により、だれもが支え合う共生社会の実現

地域包括ケアシステム=共生社会

平成30年以降には共生社会を目指していきます。制度はどうしても縦割りになってしまう。それに横串を刺す形で制度間の溝を埋めていきます。
自営業で、家で介護をしていたケース。家で看れないのでショートステイを増やしたいとの要望が出たケース。よくよく聴き取ると、孫が不登校になった。それを聴き、児童相談所に相談し問題の解決をはかる。そういった制度間を超え、皆で支援することを目指します。

私の感想

尾道市は医師が担当者会議に参加していることが雑誌に取り上げられているのを読みました。御調町の先進的な考えが今でも生きているためでしょう。
1970年代後半といいますから、かなり前からすばらしい理念で活動している地域・病院があったことに驚きました。2008年に国がその取り組みを制度化することを言い出し、まさに今取り組みが動き出したのをみると、40年以上の時を経て全国に広まっていくことになりました。

金がないからという、費用削減ありきのところはしょうがないでしょうが、地域づくりといったことは、これから本当に大事になってくることでしょう。
共生社会も高齢者から子供まで、制度の枠を超えた支え合いを目指したもので、今問題の待機児童問題も老人福祉とミックスさせて取り組んでいく。実現できればすばらしいことです。
しかし、高齢者介護、障害者介護、児童保育ではそれぞれ専門分野化されており、その専門家が別の分野に取り組むときに、「どう対応していいか?」と困惑するのが予想されます。しかし、一歩踏み出すことが大事なことでしょう。
(うがった見方ですが、介護保険の保険料を20歳~40歳の人たちにも払わせる理由付けにも使われることが考えられます)

老人介護と子供の保育、一緒に取り組んでいる実例がテレビに取材されていたのを見た覚えがあります。子供と接すると認知症の高齢者も感情が穏やかになることが期待されるとのこと。介護士も保育士もなり手が少ない中、人材活用の効率的なモデルにもなり得るでしょう。
財政事情からの発想だけでなく、理想をもとに明るい未来を考えていくこともお国にお願いしたいし、介護や保育で働く人たちにも理想をもってひとりひとりの力が住みよい社会・地域をつくっていくことにつながっているので、元気に希望をもってこの業界で頑張ってほしいと思います。